Detroit

デトロイト研修レポート 京都大学医学部医学科4回生 井川 彰久

<実習までの流れ> 
 私がデトロイトでの研修プログラムについて詳しく知ったのは2017年1月の循環器内科の講義(S1)の際であった。マイコースプログラムでは基礎研究主体のプログラムが多いなか、この研修では、現地で循環器内科医として活躍されておられる山崎先生のもとでアメリカの臨床現場を体感できると伺い、とても魅力を感じた。実は、このときすでに別の基礎研究の実習先は内定していたのだが、かねてよりアメリカでの医療現場を見学したいという気持ちは強かったので、思い切って応募することを決心した。デトロイトの研修に参加するメンバーが決定してからしばらくすると、山崎先生が私たちに2017年度の実習計画書と実習における注意点などをメールで送ってきてくださった。本来であれば5月末ごろまでに結核陰性の証明と自己紹介文とを先生にお送りしなければならなかったのだが、色々あって提出がかなり直前になってしまい、先生にはご迷惑をおかけし申し訳なかったと反省している。さらに、渡航前に予備知識を身につけておく目的で2017.7.24~7.28に京都大学病院循環器内科において5回生の方々のポリクリに参加させていただき、循環器疾患についての知識を広げることができた。また、実習のある日は朝の6:45に先生のご自宅を出発すると実習書に書かれていたので、生活リズムを超夜型から朝型にすることにも努めた。私自身は今回が中学3年以来となる2度目の海外渡航であり、自身の語学力には多少の不安を感じていたが、シャドーイングを通じてアメリカの医療現場を見学し、将来のキャリアパスを考えるうえでの糧とするつもりで気合を入れて臨んだ。


<実習の様子>
8/19(土) デトロイト到着
この日は朝の4時半ごろに起床し、始発の大阪モノレールで伊丹空港へと向かった。そこから成田経由でワシントンに向かい、入国審査などを終えたのち、乗り継ぎ便でデトロイトへと向かう予定であった。他の2人は別々の航空会社を利用するものの、だいたい同じような時間帯にデトロイトに到着すると聞いていたので、現地で合流することに決めていた。しかし当日東京が雷雨に見舞われ、成田発の便が90分以上遅れた影響で、ワシントンでの乗り継ぎができないという波乱の幕開けとなった。入国審査などに多少時間がかかったものの、夕方の次のデトロイト行きの便まで4時間弱空港で待つという事態になった。山崎先生には私のためだけに再度空港に迎えに来てくださり、とても感謝している。空港から先生のご自宅までは車で約30分ほどである。先生のご自宅は3階建てでお城のような外見をしており、敷地内にはプール・ジャグジ・芝生のある庭などがあった。今回は男子2人で1部屋を使わせていただく形となったが、部屋にはシャワー・トイレなども完備されており、とても快適であった。

8/20(日) 予備日

  • オフィスとSt. John病院の下見
  • Henry Ford博物館見学
  • Belle Isle散策

この日は時差ボケ解消のための予備日であったため、実習はなかったが、山崎先生がデトロイト市内を案内してくださった。この日はまず実習先となる場所を下見させていただいたあと、Henry Ford博物館に行き、歴代の大統領専用車や蒸気機関車や飛行機などの展示を見学した。博物館の屋外展示はアメリカの原風景を再現したものであり、そこでは蒸気機関車が実際に走っていたり、様々な工芸品を作るための設備が展示されていたりした。どうやらこの博物館のあたりの一帯が全てHenry Fordの敷地になっているらしく、駐車場にはFord車が数多く見られ、近くにはFordの自動車の性能を確かめる試験場のようなものもあった。博物館を出発した後は、Belle Isleという島に寄って帰った。Belle Isleはアメリカとカナダの国境を流れるデトロイト川に浮かぶ島であり、島の中には水族館やヨットクラブのようなものもあった。また訪れたのが8月の半ばの日曜日ということもあり、大勢の人がバーベキューや水遊びや釣りを楽しんでいた。

8/21(月) 実習1日目

  • 外来見学 (オフィス)
  • 講義 (虚血性心疾患・先天性心疾患・弁膜症など)
  • TAVIの術前説明 (St. John病院)
  • 心カテ見学 (St. John病院)

先生のオフィスでの外来見学から5日間にわたる実習が始まった。先生は病院とは別にデトロイト近郊にオフィスを持っておられ、そこで外来患者さんを診察しておられた。そしてそこではできない検査や治療が必要になると、患者さんにオフィスが提携している病院に入院していただき、そこで必要な処置や回診を自ら行うというシステムである。日本では開業医と総合病院の医師は完全に分かれているイメージが強かったので、このシステムについて初めて聞いた時は少々驚いた。午前中はそのオフィスでの見学であった。診察室には先生と一緒に、私たち3人のうち2人が交代で入り、後ろから先生の診察の様子を見学させていただくという形であった。外来見学が終わった後は、車で移動し14時ごろにSt.John病院に到着した。そこではまず大動脈弁狭窄症(AS)に対するTAVI(Transcatheter Aortic Valve Implantation)の術前説明を2件見学した。TAVIとは鼠径部から太いカテーテルを挿入し、大動脈を経て、狭くなった大動脈弁の内側に人工弁をセットし、それを膨らませることによって弁置換をするというものである。従来の開心術による弁置換に中等度以上のリスクがあるようなASの症例で検討される最新の治療であり、特に何らかの合併症を抱えた高齢の方に行われることが多い。その後カテ室に移動し、コントロールルームからカテーテルによる検査や治療の見学を行った。また、この日は見学や診察の合間に先生が循環器疾患の分類・虚血性心疾患・先天性心疾患・弁膜症などについての講義をしてくださり、内容的には盛りだくさんであったが、非常に良い復習になったと感謝している。

8/22(火) 実習2日目

  • TAVI見学 (St. John病院)
  • 講義 (圧波形・不整脈など)
  • 心カテ見学・回診 (Macomb病院)
  • カテ見学 (St. John病院)

この日は先生からASについての講義・TAVIの詳細な説明を受けたのち、8:45からSt. John病院にてTAVIを1件見学した。手術室の温度は機械に合わせて設定されているらしく、コントロールルームもやや寒かった。途中からは実際にカテ室内に入らせていただくことができた。先生が事前にASにおける圧波形などの説明をしてくださったおかげで、術中もわりとスムーズに理解ができたように思う。その後11:00からは同じく先生のオフィスの提携病院であるMacomb病院に移動し、血管造影の様子を見学した。Macomb病院での入院患者さんの回診を終えた後、ガソリンスタンドに寄り、15:45 頃にSt. John 病院に戻った。そこではカテーテルによる浅大腿動脈(SFA)の閉塞解除の見学をさせていただいた。現地の医療関係者の方々も私たちに積極的に話しかけて下さり、このようなケースではカルシウムを主成分とする固い石灰化病変が連続的に見られ、造影剤を入れていなくても血管壁が見えるなどといった説明をしていただけた。ただ、これは難しい症例であったようで、他の症例に比べて処置が長引いていたことを覚えている。この日は終了間際にSTEMIに対する緊急PCIが入った。この時は医療関係者の方々もかなりあわただしく動いておられた。

8/23(水) 実習3日目

  • 心カテ見学 (St. John病院)

この日は朝の7時にSt. John 病院に到着し、1日中カテーテルの様子を見学させていただいた。処置の合間を縫って、IVUS(Intravascular ultrasonography)についての説明を聞くことができ、大変勉強になった。IVUSとは血管内超音波検査のことであり、日本ではアメリカに比べてかなり普及しているようだ。IVUSを用いることによって血管の中のプラークの性状が詳細に描出できることを知り、これこそがまさにpathology on the livingだと感じた。この日は製薬会社の方々をはじめ、何人かの方がカテーテルの見学に来られていたように思う。ときには製薬会社の方が実際にカテ室の中に入って、自社の機械の使い方を見せるというような場面も見られた。また、この日はロータブレータを用いた粥腫切除術(Atherectomy)の臨床試験も目の前で行われており、実際にプロトコールを拝見させていただくことで、どのようにして医療現場で治験が行われているかを理解することができた。

8/24(木) 実習4日目

  • Secret Case Conference (St.John病院)
  • 外来見学 (オフィス)
  • 製薬会社ディナートーク (デトロイト市内)

その日は朝7時からSt. John病院でSecret Case Conferenceというものがあった。これはその名の通り、最初は病名を伏せておいて、症状や検査結果などを最初に提示し、そこから参加者で議論して鑑別診断を挙げ、病名を突き止めるものである。今回の疾患は肺塞栓症であったのだが、ただその診断をつけることにとどまらず、Conferenceの後半では、今回の症例の経過をもとにして、このような患者さんを救うためにはどうすればよいかといった議論をしておられた。8時ごろからは先生のオフィスに移動し、夕方まで外来見学をさせていただいた。19時からはデトロイト市内で開催された製薬会社主催のディナートークに参加させていただいた。テーマは肺高血圧症についてであった。肺高血圧症についてはあまり深く勉強していなかったのだが、少しでもその場で理解しようと思いプレゼンターの話に懸命に耳を傾けた。肺高血圧症は症状が非特異的であるため、病期が進んでから診断されることも多く、だからこそ様々なスクリーニング検査によって症状が出現してくる前に発見することが重要だということがtake home messageであった。

8/25(金) 実習最終日

  • Intervention Conference (St. John病院)
  • カテ見学 (St. John病院)
  • 外来見学 (オフィス)

この日は午前7時から1時間ほどSt. John病院でFellowの先生方による症例報告会(Intervention Conference)があり、それに参加させていただいた。私はInterventionについての専門的な知識はあまりなかったため、私たちが実際に見学させていただいた症例以外の内容はまだあまり分からなかったが、ここ1,2週間の症例についてFellowの先生方と指導医の間で活発な議論が展開されていたのがとても印象的であった。その後はカテーテル見学をさせていただき、午後は先生のオフィスに移動して外来見学をさせていただいた。この辺りになると少し余裕が出てきたので、先生の診察の合間にこれまでの先生の講義内容を3人でまとめたりしていた。

8/26(土) デトロイト出発
朝の4時ごろに同部屋の人を布団の中から見送った。この日の朝は8時に朝食をとり、その後出発に向けて荷物をまとめた。先生がご親切にもデトロイトの空港まで車で送ってくださった。私は12時半の便でデトロイトを出発し次の研修先があるワシントンに向かった。


<実習を終えての感想>
 今回の実習ではアメリカの医療現場を間近に体験することができ、将来的にイレクティブでの海外研修やUSMLEの受験も視野に入れている私にとってはとても貴重な経験になった。特に山崎先生が現地の方々のために尽くしておられる姿には感銘を受けた。臨床では基礎研究の分野とは異なり、患者と直接関わる機会が多く、ときには難しいケースもあるに違いないが、その分やりがいがある仕事だと感じた。また、私はアメリカの医療現場の開放的な雰囲気がとても気に入った。現地の医療関係者の皆さんは積極的に私たちに話しかけてくださったのみならず、私が恥を承知で色々と質問しても嫌がることなく、丁寧に答えてくださった。さらに医療関係者が職種の垣根や年齢の差を越えていろいろと議論しておられる場面もよく見かけ、日本とは様々な意味で違いを感じた。
さらに今回は、先生が循環器疾患について私たちに対話形式で講義してくださったが、なかなか質問に答えるのが難しいときも多々あった。やはり医学的知識を習得する際には、断片的にそれぞれの疾患について丸覚えするのではなく、基礎の知識と関連させるなどの工夫を行い、様々な側面から統合された知識を身につけることを目指そうと思った。

最後になったが、実習をしていて何よりも重要だと感じたのはやはり英語力である。約2年後のイレクティブで海外研修をするということになると、現地の医学生に混じって実習を行い、問診を英語で取り、英語で先生方と議論することもあるかもしれない。せっかく行くからには後悔したくはないので、今から先を見据えてTOEFL受験等を含めて準備を進めていく必要があると感じた。


<謝辞>
今回のデトロイトでの実習を紹介してくださいました尾野先生と中川先生、デトロイトの研修の間、色々と私たちをご指導してくださいました山崎先生、毎晩美味しい手料理をご馳走してくださいました奥様の信子さん、日本から来た医学生である私たちを歓迎し親切に色々と教えてくださいました現地の医療関係者の皆さまに改めて感謝申し上げるとともに、皆さまの今後のより一層のご活躍をお祈り申し上げます。本当にありがとうございました。

 

 

デトロイト研修レポート 京都大学医学部医学科4回生 西田 紘司

この夏、循環器内科のマイコースプログラムの一環としてアメリカのデトロイトにて8月19日から26日まで実習をさせていただきました。はじめに今回の実習にあたり、様々な形でサポートしてくださった尾野先生をはじめ、実習を紹介してくださった中川先生、またミニポリクリでお世話になった京大病院循環器内科の先生方、秘書さん、そして何よりも現地にてたくさんの貴重な経験をする機会を与えてくださった山崎先生、日々過ごしやすいようサポートしてくださった奥様の信子さん、本当にありがとうございました。
簡単ですが実習内容について以下にまとめさせていただきます。
 

  1.  アメリカの医療について
    日本とアメリカでは医療制度が異なります。開業医は自分のオフィスを持ち、そこで主に外来患者の診察を行います。山崎先生の場合は8人の開業医でグループを形成されていてオフィスも共同で設立されたそうです。各ドクターが自分の患者を受け持ち、フォローをするという形になっています。そして詳しい検査やカテーテルによる治療などが必要だとなった場合はそれぞれが契約している大きな病院に入院してもらうという形で役割が分担されています。山崎先生の場合はSt John病院とその姉妹病院であるMacomb病院と契約されており、そこのカテ室を使ってカテーテル治療や検査などを担当されていました。基本的にその2つの病院と自分のオフィスとを行き来しながら普段の仕事をなさっており、日本の勤務医とも開業医とも少し異なる形で非常に合理的な印象を抱きました。ちなみにデトロイト(ミシガン州)は車の町ということで高速道路が無料だそうです。先生もそのfree wayを利用して病院を行き来されていました。
     
  2. 日本での準備について
    ・デトロイト行きが決まってからすることについて
    後述しますが実習中は先生のお宅に泊まらせていただけるということで、すべきこととしては主に航空券の手配、パスポートの新規取得や更新(必要な人のみ)、ESTAの申請でした。ちなみにアメリカでは3か月以内であればビザは必要ありません。その代わりにESTAを申請します。それ以外の詳しいことも含め2月の下旬に山崎先生がファイルをメールに添付して送ってくださったので、それに従い準備を進めました。ちなみに航空券はゴールデンウィークを過ぎると皆が夏休みの旅行を考え始め値段が上がるので、それまでに取っておくことをおすすめします。僕は行きが乗り継ぎ便でしたが日本からの飛行機の出発が遅れ、乗り継ぎに間に合うか不安な思いをしました。幸い無事乗り継ぎができ、定刻通りにデトロイトについたのですが海外に慣れていない方や不安な方は少し高くても直行便の方をおすすめします。あと山崎先生からのメッセージの最後にそれぞれ簡単でよいので自己紹介の報告をお願いしますとの追伸があったのですが、僕たちはそれを提出するのが遅れてしまい山崎先生、さらには中川先生、尾野先生にまでもご迷惑をおかけしてしまったので指示された書類は早めに提出するようにしましょう。
    また循環器の授業は臨床の1番最初にあり、夏休みを迎えるころには知識をきれいさっぱり忘れてしまっているので各自レジュメを見返したり教科書を読むなどしっかりと勉強して知識を思い出しておく必要があります。僕もある程度は勉強してから実習に臨んだのですが、いざ臨床の現場に出てみるとそれでは不十分だったのでもっとやっておけばよかったなと後悔しております。

    ・ミニポリクリについて
    現地での実習の前に日本で事前研修として7月24日から28日まで一週間京大病院循環器内科にてミニポリクリを行いました。毎日朝8時20分からのカンファレンスに始まり、その後先生方の講義や手技の見学などが入り、その合間で担当している患者さんの様子を見にいったり最終日に発表するレポートの作成などを行いました。講義では様々な観点から疾患を解説していただいたのですが自分の勉強不足もありなかなか質問には答えられず、向こうに行くまでにもっと勉強しなければと実感しました。手技の見学ではPCIや不整脈に対するアブレーションなどを見せていただきました。カテーテル治療を実際目にするのは初めてだったので非常に新鮮でした。またそれ以外にもエコーや心筋シンチグラフィーの見学も行い、画像の読み方等も解説していただきました。
     
  3. デトロイトでの生活について
    ・先生のご自宅
    実習中は先生のご自宅に泊めていただきました。先生のお宅は築90年と非常に歴史があり、部屋の細かな装飾なども非常に凝っていました。部屋数も多く、プールや地下室、ダンスホールなどもあり日本ではなかなか見られない豪邸でした。洗濯機および洗剤も使わせていただくことができ、シャワーやトイレは1部屋に1つずつついていました。シャンプーやタオル、歯ブラシなどのアメニティ類は自分で持って行ったものを使用しました。Wi-Fiもありネットにも自由につなぐことができました。家で過ごす時間はそんなに長くなかったのですが、先生と奥様のおかげで本当に快適でずっと泊まっていたいと思う家でした。

    ・食事
    朝食:奥様が毎日用意してくださりました。シリアルとフルーツ、オムレツとソーセージ、トーストなど。オレンジジュースとコーヒー、牛乳もありました。朝は早かったですが美味しかったのでしっかり食べることができました。
    昼食:基本的には病院に出入りしている製薬会社が用意してくださったケータリングをいただきました。メニューはサンドイッチとサラダなど。カリフォルニアロールのようなお寿司が出た時もありました。外来診察やカテの合間を見計らって食べる感じだったのであまり時間はなかったですが美味しかったです。
    夕食:奥様が毎晩作ってくださりました。日本食でしかもとてもおいしく毎日のようにごはんをお代わりしてしまいました。やはりお米が食べられるのがうれしかったです。1日の出来事なども含め先生、奥様と色々な話をしながらゆっくりと食べていました。

    ・気候、環境
    朝晩は結構肌寒く日中でも日本ほど暑くはなかったです。イメージ的には北海道と同じくらいだと思います。羽織るものが1枚あるとよいと思います。基本的には病院内で過ごすことが多く、特にカテ室のコントロールルーム(そこで待機して見学することが多かった)はかなりクーラーが効いていたので寒さに弱い人は気をつけた方が良いかもしれません。実習中は基本的にカッターシャツにズボン、スニーカーといった格好でした。先生のお宅は湖が近くにあり、緑も多く天気の良い日が続いたので非常に快適に気持ちよく過ごすことができました。一般的にデトロイトは治安が悪く危ないというイメージがあるかもしれませんが、先生のお宅は高級住宅地にあり治安はとてもよかったし、病院への行き帰りはすべて先生が車で送ってくださったので身の危険を感じることは全くと言ってなかったです。

    ・休日や家での空き時間の過ごし方
    19日(土曜日)
    15時半にデトロイト空港着
    先生が迎えに来てくださりました。空港からは車で20分くらいです。家に着いた後、中を案内していただきました。先ほども書きましたが本当に立派なお宅で終始感動しっぱなしでした。少し部屋でゆっくりした後、夜8時ごろ全員そろっての夕食をとりました。夜は時差ぼけや疲れもあり10時過ぎには寝てしまいました。

    20日(日曜日)
    9時半 起床
    10時 朝食
    10時半 これから1週間の間お世話になる病院とオフィスを先生が案内してくださいました。そしてその後、ヘンリーフォード博物館やベルアイルなど市内観光に連れて行ってくださいました。
    18時ごろ プールサイドのテラスで夕食。
    翌日からの実習に備えこの日も早めに就寝しました。

    実習が始まってからは毎日が充実していた分疲れもあり、晩御飯をいただいてからは部屋でかなり早めに寝ることが多かったですが、それ以外の空き時間では先生から色々なことに誘っていただきました。湖沿いを一緒にランニングしたり、家のプールやジャグジーで遊ばしてもらったりもしました。地下には卓球場やビリヤード場もあり僕はやらずに寝てしまったことを後悔しています。笑
     
  4. デトロイトでの実習について
    基本的には毎日6時に起床し6時15分くらいから朝食をいただきました。出発時間はだいたい6時40分くらいでした。基本的な日中のスケジュールは各曜日によって異なるのでそれぞれ書いていきたいと思います。

    21日(月曜日) 山崎先生のオフィスで外来診察の見学
    6時45分すぎ 湖から昇る朝日を見てからオフィスに向かいました。遮るものがなく太陽が湖面に反射して本当にきれいでした。
    7時 オフィス到着
    7時半~13時 外来診察見学
    午前中だけで15人くらいの患者さんがひっきりなしにやってきます。オフィスでの診察はほとんど予約診療制らしく、患者さんは予約した時間にオフィスに来て受付をすまし、簡単な問診や身長、体重、血圧などの測定をして診察を待ちます。その際パソコンの電子カルテ上では患者が色分けされて表示されており、受付で待っている人はオレンジ、問診のためスタッフと一緒にいる場合は青色、診察待ちの場合は緑色といった風になっているそうです。一目で患者の状態が分かり待ち時間も減り効率的だと思いました。僕ら学生3人のうち2人が診察の部屋に入り、1人は待ち時間の間に勉強をするといったローテーションを繰り返しながら診察の見学をさせていただきました。ちなみに日本と異なり患者さんが部屋で待っていて先生がそこを訪れるというスタイルでした。だいたい一人当たりの診察時間は10分弱くらいで、循環器の症状以外に多種多様な症状を訴える患者さんも多く、先生のことを信頼し色々な相談をされている患者さんが多かった印象です。患者さんは明るい方が多く、僕らが日本から来た先生の後輩だと分かると気さくに話しかけてくださいました。診察から戻ると電子カルテに結果を書き込み次の患者さんの情報に目を通してから次の診察に向かいます。
    また山崎先生には診察の合間に講義もたくさんしていただきました。疾患を分類しそれぞれの疾患について教えてくださるのですが、解剖学的な知識や疾患のメカニズムなど基礎系のお話から実臨床で用いる薬など幅広く教えていただきました。
    昼食後 St John病院へ移動しました。(車で10分くらいです)
    St John病院はもともと教会に付属していた病院だったのですがどんどん病院部分が拡張していき、今では病院としての機能がメインとなっているそうです。エントランスはホテルのような感じで中も非常に綺麗でした。
    午後からはだいたい18時前くらいまでカテーテルの見学をさせてもらいました。カテについては後で詳しく書きます。
    そして帰宅後19時過ぎから夕食をいただきました。このような感じであっという間に初日の実習が終わりましたが、思った以上に疲れていたみたいで部屋に戻ると電気も付けたまま一瞬で寝てしまいました。

    22日(火曜日)
    7時 St John病院到着。TAVIの準備。この間に全身の血管の走行について先生に講義していただきました。解剖で勉強したはずがほとんど覚えておらず確認していただいて助かりました。
    8時45分~10時45分 TAVI見学
    この日は経大腿動脈からアプローチしていました。先ほど血管の走行を学んだおかげでどのようにカテーテルが入っているかイメージしやすかったです。実際にプロテクターを着用しカテーテル室の中に入らせてもらい、モニター等を見ながら手が空いているスタッフの方に解説していただきました。実臨床を間近で見学することができ良い経験ができました。
    Macomb病院に移動(車で15分くらい)
    11時~12時 血管造影見学
    12時 昼食
    12時15分~15時30分 入院患者回診
    先生が担当されている患者以外に、他の医師からの紹介による患者も診るそうです。
    St John病院に移動 15時45分~17時45分 カテーテルによるSFAの閉塞解除の見学
    最初shock waveという狭窄部位を超音波で破壊する機器を用いていたのですが、うまくいかず次にロータブレータという先端にドリルのようなものがついた機器を使って石灰化した病変を削り取る手法を試みていました。様々なタイプの機器が出てきたのですが、コントロールルームにいたスタッフの方が丁寧にメカニズムや使い方などを教えてくださいました。このように医療機器の進歩によって治療の可能性が広がるということで、カテーテル治療は他の治療に比べて工学と医学がダイレクトに結びついている印象を抱き、そういった点も素晴らしいなと思いました。もちろんそこには術者の技術の向上が不可欠で、山崎先生は後進の育成にも非常に熱心に取り組んでいらっしゃいました。
    18時~緊急カテ→CAGで閉塞が見つかったためPCI施行
    19時半 帰宅
    20時 夕食
    この日は病院を2つ回り、カテや回診を見学させていただいたのですが最後に緊急のカテも入り、情けない話ですが僕は見学していただけでかなりクタクタでした。それでも先生はずっと立ちっぱなしでカテをされているにも関わらず最後までハードに仕事をこなしてらっしゃいました。またこの日はSTEMI当直に当たっているということで夜も緊急で呼ばれるかもしれないと聞きさらに先生のタフさを実感しました。

    23日(水曜日)
    St John病院で1日カテーテルの見学(なんと先生は1日に7例もカテをしてらっしゃいました)
    7時 St John病院到着、カテーテル準備
    7時半~10時20分 1例目 間欠性跛行の患者さんで大腿動脈に狭窄があったためカテーテル治療を実施しました。
    10時45分~11時5分 2例目 下肢に壊死がある患者さんでどこの血管が狭窄しているのかを調べる目的でおこなわれました。血管造影した結果、足背動脈の先まで異常なく、カテ治療の適応ではないということでした。
    11時20分 昼食
    12時~13時10分 3例目 RCTの対象ということでプロパーさんが数多くコントロールルームへやってきました。RCTでは非常に厳密にガイドラインが定められており、1つ1つ治療の方向性を確認しながら進めていました。治験は実際にはこのように行われているのだと間近で見られてよかったです。
    13時20分~13時50分 4例目 ネパール出身のおしゃべり好きなフェローの方が医学以外のことを色々教えてくれました。笑
    14時20分~15時 5例目 BNPの上昇が見られたため、虚血部位があるかどうか検査目的のカテを実施しました。結果的にカテ治療の必要はありませんでした。
    15時50分~17時20分 6例目
    17時30分~17時40分 7例目 置換した大動脈弁の動きを調べる目的のカテ
    18時ごろ 帰宅
    18時半 先生と湖沿いをランニング
    19時 夕食
    20時 お庭にあるプールとジャグジーに入らせていただきました。

    この日もコントロールルームでずっと見学させていただいたのですが、カテ室での準備中に鼻歌を歌っているスタッフがいたり、医師や看護師など医療スタッフ同士で冗談を言い合ったりと結構陽気な雰囲気があり、アメリカらしいなと思いました。僕たち学生にも積極的に話しかけてくださり、また僕らが拙い英語で質問しても親切に答えてくださり本当にありがたかったです。
    またこの日先生は計7例もカテをこなしているにも関わらず、帰宅後マラソンの練習として湖沿いのランニングに誘ってくださいました。この日も先生のタフさを実感することとなりました。

    24日(木曜日)
    6時30分 朝St John病院でカンファレンスがあるためいつもより少し早めに出発
    7時~8時 St John病院にてカンファレンスに参加
    症例に対し治療法を検討するといった形式でした。今回のテーマはPE(肺塞栓症)に対して血栓溶解薬による治療かカテーテル治療か、両者の比較をしながら考えるというものでした。だいたい1時間ほどでしたが質問が多く、活発な議論が行われていました。研修医の人たちはカテーテルについて山崎先生に意見を求めることも多く、指導医として信頼されているのだなと思いました。ただ英語の内容にはなかなかついていけませんでした。
    オフィスに移動
    8時半~12時 外来患者の診察見学
    12時 昼食
    12時半~17時半 外来患者の診察見学
    19時~20時半 製薬会社主催のディナーに招待していただきました。
    余談ですが先生から行くかどうか聞かれて最初「日本から来たただの学生だし…ご飯目当てだと申し訳ないな」と行くのをためらっていた僕たちですが、スマホで調べるとなんとデトロイト市内で1番評価が高いレストラン!ということで3人そろって一瞬で「行こう!」となり連れて行っていただきました。笑
    行ってみると製薬会社の方も気さくに話しかけてくださり、肺高血圧のプレゼンも分かりやすく、なおかつ料理もおいしく行ってよかったです。
    21時 帰宅

    25日(金曜日)
    6時半 この日も朝からカンファレンスがあるため少し早めに出発
    7時~8時 St John病院にてカンファレンス参加
    この日のカンファレンスは昨日とは異なりフェロー3人と指導医2人の小規模なものでした。フェローがそれぞれ最近扱った症例を紹介し治療法などを振り返るといった形式で、人が少ない分1つ1つに関してじっくりと議論がなされていました。これ以外にも若いフェローは日々様々な勉強会をしているそうです。
    8時半~11時半 カテーテル見学
    この日は水曜日に行ったRCTの患者さんの続きで、LADの狭窄解除でした。この患者さんは腎機能が落ちていることを考慮し2回に分けてカテ治療が行われたようです。
    11時45分~12時 昼食 オフィスへ移動
    12時半~15時半 外来患者の診察見学(10人ほど)
    余談ですが日本人の方が患者さんにいらっしゃって、山崎先生が日本語で診察されている姿が新鮮でした。
    16時半 帰宅
    17時半 近所を散歩
    18時半 夕食

    このような流れで1週間の実習があっという間に終わってしまいました。今回の実習で1番実感したのは自分の英語力のなさです。日を追うごとに少しずつですが耳が英語に慣れてきて患者さんの言っていることやスタッフの方のお話とかが理解できるようになりましたが、それでもコミュニケーションと呼べるものではなく、まして仕事になるとどうすればよいのだろうと思いました。言葉が通じないもどかしさ、教えてもらってることが十分に分からない申し訳なさがずっと付きまとっていました。
    また先生の講義からも多くのことを学ばせていただきました。講義は基本的に質問形式だったのですが、答えられないことが多く勉強不足を実感しました。色々な切り口から講義していただき、ただ教科書を読んで覚えるという無味乾燥な日々の勉強に比べ体系的に知識が身につくのを実感しました。実際に使える知識というのはこのように学ぶのだと分かったので、これからの勉強に生かしていきたいです。
     
  5. 最後に
    今回、デトロイトでの実習を通して本当に貴重な体験をすることができました。山崎先生、信子さん、改めてお礼申し上げます。今まで漠然と考えていただけでしたが、アメリカの臨床の場をこの目で実際に見て雰囲気を感じることができ、もし自分が将来アメリカで働くとした場合何が足りないか、どうこれから取り組んでいったらいいのか方向性が少しでも分かったのが自分にとって大きかったです。少し堅苦しくなってしまいましたが何よりも1週間、本当に楽しかったです。あっという間に終わってしまいました。それくらい毎日刺激的で、あらゆることが自分にとって新鮮で、日本にいたらなかなか経験できないだろうなということばかりでした。今回の実習を得たことを無駄にせずこれから取り組んでいきたいと思います。本当にありがとうございました。



Detroit研修レポート 京都大学医学部医学科4回生 稲元瑞月

マイコースプログラムの一環としてデトロイトで循環器内科医として働かれている山崎博先生のもとで8/19〜8/26の1週間研修させて頂きました。この研修は3回生の冬学期に行われたS1の講義で天理よろず相談所病院の中川先生と京大病院の尾野先生により紹介をいただき知ることができました。
素晴らしい機会を与えて下さった山崎先生、奥様、中川先生、尾野先生、京大の先生方に心より感謝申し上げます。


1. デトロイトに出発するまで、準備などについて

航空機のチケット、入国審査について、先生の連絡先、気候と服装、研修のスケジュール、注意事項などを記載して下さっている計画書を山崎先生が3月ごろに送って下さいました。それに従って研修の準備は進めました。計画書は本当に細かいことまで丁寧に書いて下さっていて本当にありがたかったです。ただ私は春ごろ上手く先生方と連絡を取ることができず先生方にご心配とご迷惑をおかけしましたので後輩の皆さんは一緒に実習に行く人と定期的になにか先生から連絡は来ていないかなど確認をとることをおすすめします。
航空券のチケットについてですが、私は3月後半にとりました。この時期にとると安くて良い時間に出発、到着できる航空券をとることができます。先生が送ってくださる計画書にも書かれていますが航空券をとる際は、先生にご迷惑をかけないように一緒に実習に行く人と便の時間を合わせましょう。デトロイトを出発する日の便も早朝や深夜でない時間で合わせるようにしましょう。日本からデトロイトまでは成田空港かセントレア空港から直行便が出ています。(セントレア空港も出ていますが便の数は少なそうです。)乗り継ぎはなかなかうまくいかず、予想到着時刻と大きくずれてしまうことがしばしばあるようですので帰りは乗り継ぎ便でもいいと思いますが少なくとも行きはこの直行便を使われるといいかと思われます。
胸部レントゲン写真の陰性結果の提出が求められますので、4月にある健康診断では胸部X線は任意だと思いますが受けておくと後で楽だと思います。6月ごろに結果は受け取れたはずです。その結果をスキャンしてファイルを先生にメールで送りました。
気候ですが体感としては日本の10月くらいの気温で日本と違い湿度が低くカラッとしていたのでとても気持ちよかったです。朝はひんやりと感じるくらい涼しかったです。持って行く服は半袖でいいと思いますが羽織るものが1枚あると朝の涼しい時間を過ごす際に役立つと思います。また病院内で冷房が強めにきいている場所もありましたのでその際にも使えるかと思われます。病院内で着る服装は先生の計画書を参考にされるといいかと思いますが3人とも襟付きのシャツ、黒いズボン、スニーカーといった感じでした。白衣は着ないのでその格好でいろんな先生方や患者さんに出会うと想定して服装の準備はされるといいかと思います。
一応入国審査についてもこちらに記載させていただきます。入国審査は待ち時間が非常に長く30分〜1時間はかかったんじゃないかと思います。私の受けた入国審査は非常に簡単なもので1分くらいで終わったのですが人によってはいろいろ突っ込んで聞かれたとも聞いているのであらかじめ先生が計画書に書いてくださっている文章を覚えて準備しておかれるといいと思います。ESTAは忘れずに取っておきましょう。
また先輩方の研修レポートでもよく書かれていることなのですが、英語の勉強と循環器の勉強はよくしておくべきです。私は正直あまり両者ともに研修前にできていなくてしっかりしておくべきだったと心から思っておりますので後輩の皆さんにはぜひしておいてもらいたいです。
英語に関してですがいくら山崎先生のお宅でお世話になることができるといいましても当然病院やオフィスで日本語を話すことができるのは基本的には山崎先生と一緒に行く実習に行く人のみとなります。病院の先生方や患者さんは皆さんとてもフレンドリーでたくさん話しかけてくださり、また親切にいろんなことを教えてくださいました。ですが私は何といってくださっているかわからないことが多かったので非常にもどかしかったです。聞き取ることさえできれば何かしら返答しもっと会話をすることができたのになあ、と思いましたので日本でどんな方法でもいいと思いますので英語を聞き取る訓練を耳を慣らすくらいでもいいと思いますからしておくことをオススメします。
また循環器の勉強はもう一度ミニポリクリ後にデトロイトに行く前にもう一度しっかりしておくべきです。私は質問をして下さっても答えられないことも多く非常に申し訳なく思うことが多かったです。そんな私でもカテをたくさん見せていただいたり毎日講義を受けることで、どんどん循環器内科に関する知識が広がりカテで今どういうことをしているかが日に日にわかるようになっていくのが身をもって感じることができて充実感でいっぱいでしたが、もしデトロイトに行くまでに基本的なことだけでも一通り頭にいれておけば(本来はそうあるべきだとは思いますが)講義もさらに突っ込んだ内容を教えていただけたり、実習中にいろいろなものを見聞きしてもっとたくさんのことを吸収できたんじゃないかな、と思います。
デトロイト研修前に尾野先生が実施してくださったミニポリクリについて以下にまとめさせていただきます。


ミニポリクリについて (2017/07/24〜2017/07/28)

2週分のポリクリの内容を1週分にまとめた特別プログラムでミニポリクリを実施して下さいました。1週間講義を受けたりカテ見学などをさせて頂いたり、また1人1症例を担当し週の最後に担当患者さんの症例についてそれに関連した論文紹介を交えながら発表するというものでした。5回生の方のポリクリ第8クールの第2週に混じらせて頂きました。
基本的なスケジュールとしましては

8:30 集合、朝のカンファレンス
9:00〜 講義、カテーテル見学、アブレーション見学、検査見学など
講義:動脈硬化、高血圧、心電図、心血管危険因子、急性・慢性心不全、心筋シンチグラフィ、大動脈瘤・血管疾患、肺高血圧、PCIについて
見学内容:カテーテル、運動負荷試験、アブレーション、CCU、心エコー
16:00頃 終了(日によって異なります。)

という形でした。

2週分を1週で行うということもあり、ハードに感じることもありましたが3回生の1〜2月に勉強した内容を思い出すことができ、また実際にカテや検査の様子を見学させていただいたりさらに深く理解することができたので実施して下さって本当にありがたかったです。症例発表については初めての経験でだいぶ苦戦しましたが研修医の先生がご指導くださったり、5回生の先輩方が検査値や心電図の見方、論文の調べ方など教えてくださりました。また発表当日は尾野先生が見て下さり、いろいろコメントや質問を下さりました。
この時の持ち物についてですが、筆記用具、きれいな白衣、パソコン(発表のパワーポイントを作るのに使います。あるいはiPad)、そしてS1の勉強をした際に使った教科書、S1の講義のレジュメを忘れずに持って行くといいと思います。隙間時間で勉強するのに役立ちました。服装はポリクリ生と同じような服装を着て行きました。
 

2. デトロイトでの研修について (2017/08/19〜2017/08/26)

【生活全般について】
研修期間の一週間は先生のご自宅に宿泊させていただきました。1920年代頃からあり、デトロイトの歴史的建造物にも指定されている、お城のように大きくて素敵なお宅です。井川くんと西田くんに一部屋、私に一部屋を貸してくださいました。部屋もとても広くトイレ、洗面所、シャワールームも併設されていました。またお家には屋外には温水機能付きのプールとジャグジー、(夜はプールは青、ジャグジーはピンクの照明がつきました!)、地下室には卓球台とビリヤードがあり楽しませていただきました。(水着は持って行きましょう!)他にもとても広いballroom、図書室、ワインセラーなどもありました。先生のご自宅はまさに宝の山で少しずつ小出しに紹介してくださって最終日までずっと楽しませて下さいました。また、ご自宅の至るところに奥様の作品がありどれも本当に素敵でした。ちなみに先生のお宅はデトロイト郊外の高級住宅地にあり、すぐ目の前にはセントクレア湖という湖が広がっていました。セントクレア湖はヒューロン湖とエリー湖の間に位置していて地図上では小さく見えるのですが海のように広く見えました。また先生のお宅の東側に位置しているので朝日が湖の水平線から昇り、さらに南側の対岸にはカナダが見えるという非常に興味深く、美しい湖でした。(デトロイトはカナダが南側に見えるアメリカで唯一の都市らしいです!)デトロイトと言えば、非常に治安が悪いイメージがあったのですが先生のお宅周辺は本当に治安も良く早めに帰宅した日にはランニングもさせてもらいました。湖沿いに道が通っていてそこを走ることができるのでとても気持ちよかったです。ちなみにデトロイト中心部に行くとちらほら廃墟のような建物があったり街の雰囲気も先生のお宅の周辺とは全く異なりました。ただ最近ではデトロイト中心部にも新たな企業が参入してきたりしていて中心部の状況もよくなってきているそうです。

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到着した日について(8/19)

現地時間で14時半頃にデトロイトに到着し15時半ごろに山崎先生と西田くんと合流できたと思います。空港まで山崎先生が車で迎えに来て下さいました。井川くんは乗り継ぎ便で来ていて最初の便が遅れていて乗ろうと思っていた次の便に乗れなかったようで18時半ごろ到着予定だったので2回に分けて迎えに来てもらいました。ちなみに到着時の先生への連絡ですが空港のfree wifiが使えたのでそれを使って先生に今までやりとりをしていたメールアドレスで連絡をして最終的には電話で行いました。(なぜか空港ではiPhoneのショートメールでは送れませんでした…。)空港からご自宅までは車で約1時間で、ご自宅に到着し美しく荘厳な玄関を抜けると奥様温かく出迎えて下さりました。井川くんを迎えに行くまでの時間で西田くんと私にお家ツアーを行なって下さり、またお茶をしながら先生ご自身のお話、またお家の歴史やお家の周りの四季折々の様子を本や先生作成の写真集見ながらお話ししてくださったり、私と西田くんが硬式テニス部の所属で山崎先生が硬式テニス部であったことから部活の話まで多岐にわたっていろいろお話をしてくださいました。井川くんの到着後、奥様の手料理をみんなで頂きました。ワインも振舞っていただけました。(ちなみに本当は私も西田くんも井川くんを先生と一緒に迎えに行く予定だったのですがお茶をした後2人とも部屋で熟睡してしまい結局先生1人で行くことになってしまいました…。)


到着した次の日について(8/20)

時差ボケを気遣ってくださり遅めに10時に朝食、10時半頃に出発しオフィス、St. Johnを案内して下さり私たちのことを皆さんに紹介して下さいました。皆さんとても温かく迎えて下さいました。それから、ヘンリーフォード博物館、ベルアイル島に連れていって下さいました。この日はご自宅に戻るとプールサイドに晩御飯の用意をして下さっていて先生がBBQの機械でソーセージを焼いてホットドッグを振る舞って下さいました。

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基本的な月〜金曜日のスケジュールは以下の通りです。

6:15朝食
奥様が用意して下さる朝食を頂くことが出来ました。プールに面している朝食用のお部屋があり、そこで基本的に卵料理(スクランブルエッグ、オムレツなど)、シリアル、牛乳、いろいろな種類のフルーツ、オレンジジュース、珈琲を毎朝用意してくださっていて日替わりでウインナー、食パン、ベーグルなども用意して下さいました。ちなみに日の出は6:45頃なので朝食を食べ始める頃は時間はまだ暗かったです。

6:30~40 出発
カンファレンスが7:00から開始される日は6:30に出て、それ以外の日は6:40頃に出発していました。ちなみに、実習初日の朝はセントクレア湖にいって湖の水平線から上がる朝日を眺めてから出発して下さいました。

7:00 オフィスor病院到着

12:00頃 昼食
オフィスにいる場合は外来患者さんが途絶えたタイミング、病院にいる時はカテの合間に頂きました。昼食は製薬会社の人が用意したサラダ、サンドイッチなど(毎日製薬会社の人は訪れていました。なんとお寿司や中華料理の日もありました!)をいただくか、または先生がデリバリーピザを取ってくださいました。飲み物は病院、オフィスともに炭酸飲料、珈琲、ウォーターサーバーが用意されており、私達たちも利用させていただけました。病院の医局のようなところにはコーヒーサーバー、マフィンなどの軽食、果物などもありそこにも連れていって頂けました。

17:00~18:30頃 帰宅
先生のお仕事が終わり次第帰宅でした。お仕事が終わる時間は日によって様々だったように思います。

19:00頃 夕食
夕食も毎日奥様が用意してくださり、とても豪華なダイニングルームで頂きました。日本食を作ってくださり本当に美味しくて毎日楽しみでした。日本の食材はほとんどアメリカでも手に入るそうです。コシヒカリがカリフォルニアで作られているとのことでそれを出して下さったのですが日本のものとほとんど変わりなく美味しかったです。ふりかけも出してもらえました。あと、麦茶を毎日沸かして下さっていていつでも飲めるようにして下さっていました。ちなみにデトロイトはこの時期21時前まで明るく夕食を食べ終わってもまだ明るかったです。
また、製薬会社の方主催のディナーが行われた日もあり私達も連れていって下さり貴重な経験をさせて頂くことができました。肺高血圧についてのプレゼンテーションが行われ勉強させて頂くことができました。

22:00~30頃 就寝
普段の生活ではこの時間に眠くなることはほとんどありませんが、実習中は起床も早く一日フル活動してだいぶ疲れていたのかみんなほぼ毎日気づいたら眠ってしまっていました。

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【実習について】
アメリカの開業体制は日本とは大きく異なっています。まず先生はオフィスを開業されていて(8人のグループで開業されているようです。)そこの外来で患者さんのフォローなどを行なっていて、さらにSt.Johnという大きな病院と契約していてオフィスでみている患者さんに入院や手術が必要となればそこに入ってもらい、回診や手術を行っているようでした。術後の患者さんのフォローもオフィスで行なっていました。今回はオフィス、St.John、その姉妹病院のSt.John Macomb病院で実習は行われました。私達は先生の行く先々についていき、様々なことを学ばさせて頂くことができました。

オフィスでの実習について
オフィスに関しては部屋数の多さにとても驚きました。少なくとも20部屋はあったんじゃないかなと思います。普通日本の外来は医師が部屋にいてそこに患者さんが行くという形ですが、アメリカでは患者さんが部屋で先に待っていてそこに医師が行くという形をとっていることもあり部屋数が多いようです。(部屋には検査の機械もあり患者さんがどのような検査をするかなどで部屋を振り分けているようです。)
外来は基本的に予約制で15分おきに予約が入っていました。患者さんがオフィスに来たかどうかはパソコンでリアルタイムに更新され名前の横にオレンジ、青、緑のいずれかの色がオフィスにいる際は表記され、オレンジは受付で待っているということ、青は検査中、緑は診察待ちを表しているようです。ですので緑に表記されると先生は患者さんのいる部屋に向かいます。予約状況をみると毎回びっしり埋まっていましたが実際には来られない患者さんもいらっしゃいましたが、先生はだいたいどれくらいの患者さんが来るかは把握していらっしゃるようでした。カルテは紙のカルテからこの数年間で電子カルテに移行したそうです。ただ最初の電子カルテは使いにくかったそうで最近使いやすい電子カルテが導入されたとおっしゃっていました。また先生の中にはマイクに喋るとパソコンが自動入力してくれる機器を使っていらっしゃる方もいて非常に精度が高かく修正はほとんどされていませんでした。
外来の見学をさせていただく際は2人ずつローテーションで入らせて頂きました。部屋に入る前にどのような患者さんかを簡単に説明して下さいました。毎回先生は私たちのことを患者さんに紹介して下さり、多くの方が話しかけて下さいました。アメリカでは四年制の大学を卒業後にMedical schoolに通う制度であることや日本人が若く見えることも相まって私たちが医学生であることを聞いて”unbelievable!”と言われることもしばしばありました。(私たち3人は中高生に見えたそうです…(笑))診察をする際は山崎先生は患者さんと向かい合って話を聞いていらっしゃって患者さんはきっとすごく話しやすいだろうなと思いました。患者さんは本当に山崎先生のことを信頼している様子で私たちに「山崎先生は素晴らしい医師で君達は彼に学べて幸せだよ」と話しかけてくださる方もいらっしゃったり、山崎先生に診察してもらうことを心待ちにしていたような方の姿を見ることができました。また、診察で食事について塩辛いものを食べていないかを聞く際の代表例としてポテトチップスをあげていたのはアメリカならではだな、と思いました。(控えられていないという方は少なくなかったと思います。)患者さんはどの方もご自身の健康状態や飲んでいる薬のことをしっかりと把握している方が多く、日本よりも患者さんがよく話されている印象がありました。また先生は診察の最後には「今日あなたを診れて良かった」というような言葉をかけながら握手を交わしていらっしゃって、どの患者さんも笑顔で診察を終えていました。また、患者さんが途切れたタイミングで循環器内科全般の講義を行なって下さいました。(St.Johnでも間の時間で行なって下さいました。)まず「〜について知っていることをあげて下さい」と先生が私たちに質問をしてその答えに対しフィードバックを下さり、さらに深めて理論的な部分まで教えて下さいました。一方的に講義をするという形ではなく質問しながら進めてくださったのでいつも講義を受ける時より考えさせられることが多く、深く理解することができたように思います。また薬についてもいろいろと教えて下さり、正直薬の勉強が好きではなく1番おろそかになってしまっていたのですが重要であることに気づくことができて本当に良かったです。

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St.Johnでの実習について
St.Johnはもともとは教会を中心としてできた病院で(そのため病院の中には今でもとても立派な礼拝堂が残っていました。)病院の方がどんどん拡大していき現在では病院が主な機能となっているようです。本当に大きく綺麗な病院で、病院の入口や患者さんのご家族の待機スペースはホテルのようでした。上から見ただけですが、病院の食堂のようなところもとても広々としていました。
先生はSt.Johnで循環器内科の部長とフェローシッププログラム部長をされており、病院の先生方やスタッフみんなから好かれていて、また厚い信頼を得ているように感じました。 カテを行う前には患者さんの病歴や検査結果の資料を見せて下さり、またあらかじめどういう手技を行うかを教えていただくことができました。基本的に私たちはカテ室横のcontrol roomから見学をさせていただきました。カテ室専属のナースの方がいらっしゃってその方が手術記録をされているのですがカテ中私たちに今どのような手技を行なっているかやその意義、また使用している医療機器に関してもわかりやすく説明を行なってくださり質問にも快く答えて下さいました。ナース以外の方も本当に親切にして下さって私たち3人が山崎先生がいない状態で廊下などを歩いていると「Are you lost?」と聞いて下さったりしました。またフェローの方が特に気さくに話しかけて下さいました。control roomの雰囲気は非常に和やかで皆さんとても仲良くお仕事をされているように思いました。その雰囲気と皆さんの私たちへの優しさからいい意味でリラックスして過ごさせていただくことができ、変に肩の力が入ることなく様々なことが吸収できたように思います。カテは連日のようにたくさん見させていただくことができ、画像の見方や今何をしているかが皆さんの教えもあり日に日にわかるようになっていくを感じることができました。PCI手技ではカテ前とカテ後では血管の状態が素人目にもわかるくらいきれいになっていて感動しました。またカテーテルは侵襲が少ないということもありすぐに退院することができるため、実習中にSFAの閉塞解除のカテが行われた患者さんが術後の経過観察で元気そうにオフィスでの外来に歩いて来られている姿を見ることができたことも非常に印象的でした。 入院患者さんの回診も見学させていただきましたが、いくつか驚いたことがあり日本では一部屋に4人ほどの患者さんがいらっしゃるのが一般的だと思いますが、こちらでは個室または一部屋に多くても2人ほどしかいらっしゃいませんでした。日本に帰ってから調べて知りましたが、院内感染の減少、プライバシーの保護、睡眠の質の向上を目的としているようです。また、病院食といえば質素なものというイメージでしたがポテトチップスやデザートにベリーソースのかかったチーズケーキのようなものが出ていて驚きでした。回診の際も山崎先生は私たちのことを毎回患者さんに紹介してくださり皆さん温かく接してくださいました。入院するに至った経緯を話してくださった患者さんもいらっしゃいました。また、ちょうどその日が退院の日だった患者さんがいらっしゃって本当に嬉しそうで山崎先生に対して心から感謝していらっしゃる姿がとても印象的でした。CCUにいらっしゃる重篤な患者さんからその患者さんのように比較的元気そうな患者さんまで様々な患者さんがいらっしゃいました。

2017det7.jpg以下、月〜金曜日の実習内容です。

月曜日 オフィス→St.John

7:20〜14:40
オフィスにて外来見学をさせていただきました。また別の先生のご好意で静脈アブレーションの見学もさせていただくことができ、音楽をかけながら手術をされていました!あっという間にアブレーションは終了しました。先生はいろいろ説明してくださったのですがなかなか英語が聞き取れず半分程しか理解できなかったのが非常に申し訳ないのと同時に歯がゆかったです。

14:40〜18:30
St.Johnに移動しまず2名の手術前患者さんへの説明に立ち会わせていただくことができました。説明がなされた部屋は重厚感のある立派なお部屋でTAVIに用いる自己拡張型弁とバルーン拡張型弁の模型があり次の日にちょうどTAVIが行われたのでみることができて良かったです。またSFAの完全閉塞とSTEMIに対するカテを見学させていただくことができました。

火曜日 St.John→St.John Macomb→St.John

7:00〜8:45
カテーテル準備

8:45〜10:45
St.JohnでまずTAVI見学をさせていただくことができました。二週おきと聞いていたので今週がその週であり嬉しかったです。TAVIを行った部屋は実習中に見た部屋の中で1番大きく、また部屋にいらっしゃった先生やナースの方の数も1番多かったように思いました。今回は経大腿動脈アプローチで最終的には2個の自己拡張型の人工弁を入れていました。余談ですがこの時はカテ室に私たちも入らせていただいたためプロテクターを着ることとなりました。プロテクターは非常に重くてこれを先生方は着ながら長時間過ごし、なおかつ手技をされているのかと思うとすごい思いました。アメリカのプロテクターはとてもおしゃれで色鮮やかであることに驚きました。特に先生方が個人で所有されているものはとくに素敵で、山崎先生はスーパーマンのマークの刺繍を入れていらっしゃいました。材質、重さ、形、色など自分でいろいろ選べるそうです。

11:00〜
次にSt.John Macomb移動し(St.Johnより車で15分くらいでした。)血管造影の見学と入院患者さんの回診について行かせていただきました。

15:45〜19:00
St.Johnに戻り右SFAの閉塞解除の手技を見学させていただきました。カテ室専属のナースの方がいろいろ教えて下さり、造影剤を入れた際の色の濃さで閉塞部位の硬さがわかること、shock waveという超音波を利用して血流を改善させる機器、ロータブレーターという閉塞部位を先端にダイヤモンドをちりばめた高速回転ドリルで狭窄病変を削る機器、右SFAの閉塞を狙う際に近位部に閉塞がある時は長さを持たせるため左鼠蹊部からcrossoverでカテーテルを入れることを学びました。また救急カテが入り山崎先生が当直担当であったということもあり引き受けていらっしゃいました。CAGで閉塞が見つかりPCIを行なっていました。救急ということもありいつもより緊迫した雰囲気だったように感じました。そして当直の担当ということで連絡が入れば病院に駆けつけなければならないことになっていて私たちもその際は同行させていただくことになっておりましたが、救急の患者さんはいらっしゃらなかったようです。実際に病院に駆けつけるのは3割ほどだとおっしゃっていました。その他は連絡がないか、あっても電話越しで解決できることが多いようです。ただ当直の日でなくても他に対応できる医師がいないということなどから当直の日でなくても電話がかかってきて飛び起きて病院に駆けつけることもあるとおっしゃっていました。

水曜日 St.John
この日は1日St.Johnの日で計7例もの症例を担当されていました。

7:30〜10:20
1例目はIIA度の間欠性跛行(300m以上歩行可)が見られる症例で大腿動脈に狭窄がみられました。Caが沈着して硬化し血管が狭窄してしまっているとのことでした。生活習慣が原因とのことです。この日はIVUSという細い超音波カテーテルで血管の断面図、狭窄病変の性質(危険度)など詳細な病変情報が得られる検査が行われていました。IVUSはこの症例以外でもたびたび行われていました。この検査を専門にされている方がいてその方がいつも登場されおり、私たちにも画像の見方や原理などを詳しく教えてくださりました。その方によるとIVUSはアメリカでは一般的に全症例のうち20%ほどしか使われないそうですが、その一方で日本では90%ほどの症例で使われるそうで「日本はIVUSのディズニーランドだ!」とおっしゃっていました。山崎先生はIVUSを50%ほどの症例に対して使われているそうです。また今回もshock waveが用いられ、またHawkoneというプラークを削りながら削り取ったものを回収することができる機器を使用していました。このカテの終了後削り取ったものを見せていただくことができ、細長いチーズのようでした。またこの症例前にABIの計測の方法についても詳しく教わることができました。

10:40〜11:00
2例目は足が壊死されていた症例で以前angioplasty を行った部位の現在の状況を調べ、さらにどこの狭窄が原因で壊死しているのかを調べ治療対象なのかどうかを調べるというものでした。今回は足背動脈のみでの狭窄でカテによる治療対象ではないということでした。

12:00〜13:10
3例目はRandomizationの治験が行われた症例で、この時とてもたくさんのプロパーさんがいらっしゃいました。LADの狭窄がもとより認められていてその解除をこの日は行う予定だったらしいのですが、RCAにも狭窄が認められたためそちらの解除をこの日は行うことになりました。この症例が開始される前、たくさんの人で議論が行われていました。このRandomization試験はロータブレーターを使用した場合と使用しない場合を比較するものでこの人は使用しない方の適応だったためロータブレーターは使用せずにEvelolimus溶出性ステントを用いてカテは行われました。造影剤の腎臓への負担などを考慮すると1日で行うのは難しいとのことで、LADに関しては金曜日に行うということでした。

13:20〜13:50
4例目が行われたのですがこの時間はフェローの方が私たち3人に話しかけてくださり楽しく話させていただいている間に終わってしまいました…(笑)

14:20〜15:05
5例目は呼吸困難があり、BNP値が上昇している症例で虚血部位があるかどうか検査を行うものでした。治療を要する虚血部位はなかったようです。

15:50〜17:20
6例目はLCXの起始部異常がある症例で右冠動脈洞より出ていました。RCAとLCXの起始部に狭窄があり、先にRCAに対してPCIを行い続いてLCXの起始部に対してPCIが行われました。先にLCXの起始部へのPCIを行うとステントが万が一ずれてしまった場合にRCAへのステントが入れられなくなるためとのことでした。少し困難な症例だったそうですがカテ後の画像をみるとカテ前と同じ人の血管とは信じられないほどRCAもLCXもきれいな血管となっていて、周りのスタッフの方も素晴らしいと話していて先生自身も満足そうにされていました。

17:30〜17:40
最後の7例目は大動脈弁の動きが正常かどうかを調べる症例で、この患者さんの弁は生体弁で私は個人的に生体弁の動きを見たのは初めてだったので今回見れてよかったです。結果としてはきれいに動いており異常なしとのことでした。

木曜日 St.John→オフィス

7:00〜8:00
この日はまずカンファレンスに参加させて頂きました。約20〜30人の方が参加されていました。secret caseという形式で行われプレゼンテイターだけが何についての症例かがわかっていてみんなで何の症例かを考えていくというものでした。具体的な内容としては肺塞栓症についての症例でカテを行うべきか血栓溶解薬を使うかを考えるというものでした。ただ正直内容はきちんとはわからなかったのですがアメリカのカンファレンスの雰囲気は味わうことはできて私としては財産となりました。立場関係なくみんななにか疑問や意見があれば活発に発言がなされていました。

8:30〜12:00、13:00〜17:30
オフィスに移動し1日外来見学をさせていただきました。
この日は日本人の患者さんがいらっしゃって驚きました!

金曜日 St.John→オフィス

7:00〜8:00
St.Johnにてインターベンションカンファレンスが行われフェローの方が最近担当した症例について反省点なども含めて発表するというものでした。このカンファレンスはフェローの方3人とフェローの指導医にあたる先生2人(山崎先生含め)の計5人で行われました。私たちにも理解できるように解説をはさみながらカンファレンスを進めて下さいました。水曜日に行われたLCXの起始部異常があった症例も扱われており、今回のカンファレンスの内容は昨日のものよりもしっかりと理解することができたように思います。
この日はカンファレンス後2例のカテが入っていました。

8:20〜10:30
1例目は水曜日に行われたRandomizationの症例の続きで今日はLADの狭窄解除が行われました。この患者さんはロータブレーターを使用しない方だったのでLADについてもRCAの狭窄に対して行なったのと同じ方法を取る予定でしたがロータブレーターを使わないと狭窄解除が難しいと判断され様々な議論が行われた後、LADの狭窄についてはロータブレーターを使用することとなり、結局この患者さんはロータブレーターを使用した患者さんという扱いになったようです。Randomizationの治験に立ち会うのは初めてでしたが公正に行うために現場ではこういう労力が払われていたことを目にすることができていい経験をさせていただけました。今回の治験のマニュアルも見せていただくことができましたが、細かいところまで厳密に決められているようでした。

10:30〜
2例目は検査目的のカテが行われました。

12:30〜
オフィスに移動し外来見学をさせて頂きました。

 

3.最後に

このデトロイトで過ごさせていただいた1週間は私の人生の中で最も刺激的で楽しかった1週間と言っても過言ではないくらい素晴らしい1週間でした。今まで私は海外に旅行として行ったこともほとんどなく、ましてや実習として行くのは初めてで不安もいっぱいあったのですが、思いきって立候補して心から良かったと思っております。
この実習を通して1番痛感したのは自分の英語力のなさでした。聞き取ることは多少はできるだろうと安直なことをデトロイトに行くまでは思っていましたが実際に行くとスピードも早く非常に厳しかったです。心から英語を聞き取り話せるようになりたいと思いました。
この研修が自分の現在の学生生活の過ごし方、そして将来のキャリアについての考え方に大きく影響したことは間違いありません。また見ず知らずの私たちにこんなにもよくしてくださった山崎先生と奥様の温かく、素晴らしいお人柄に触れて人間としても成長したいと心から思いました。
今回学んだこと、感じたことを忘れず残りの学生生活を悔いの残らないように過ごしたいと思います。
お忙しい中このような素晴らしい機会を与えてくださった山崎先生、毎日美味しいご飯を作ってくださりいろいろ気遣ってくださった奥様に重ねて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。


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