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心血管バイオイメージンググループ
当研究室の概要
「生体現象の可視化」をキーワードに、心血管疾患のメカニズムに迫ることを目標としています。
所属者
- 赤尾 昌治(非常勤講師、京都医療センター循環器科科長)
- 井口 守丈(大学院生)
- 五百蔵 忠明(薬学部大学院生)
研究成果
当研究グループは、赤尾昌治が米国より帰学して2003年に発足して以来、「生体現象の可視化」をキーワードに、心血管疾患のメカニズムに迫ることを目標として研究を行ってきました。近年の蛍光物質の著しい改良により、生体内の特定の蛋白を蛍光標識してその分布や挙動を観察することが可能となりました。こうした実験系の利点は、①生きた細胞で起こっている様々な現象を観察できること、②いろいろな刺激による細胞の反応がリアルタイムで観察できること、③画像解析により定量的な評価が可能であること、などが挙げられます。我々は新たに、従来の共焦点顕微鏡をはるかに凌ぐ組織深達度を有する多光子レーザー共焦点顕微鏡(TPLSM)のシステムを構築し、従来の培養細胞を用いた実験から、生きた臓器(すなわち心臓や血管)、あるいは個体において起こっている現象を可視化することで、病態の理解を深めることを目指していきたいと考えています。
<Live cell imagingからLive organ imagingへ>
上述のTPLSMのadvantageを活かし、生きた心臓で起きている現象を細胞レベル、また分子レベルで観察できる系の確立に取り組んでいます。従来、単離した培養心筋細胞で語られていたことを、丸ごとの心臓で「見る」ことを目標としています。TPLSMを用いてラット灌流心のミトコンドリア機能を追跡するリアルタイム・イメージングの開発に成功しました。
我々は、この実験系を用いて、細胞死の過程において中心的な役割を果たすと考えられているミトコンドリア透過性遷移孔(PTポア)の機能を選択的に抑制するRNAi治療の効果を、最近論文に発表しました。
この実験系は、ひとつひとつの細胞のリアルタイムの挙動を追跡できる利点があり、細胞死の過程においてミトコンドリア機能が次々に伝播していく様子を観察し、またそれを制御している因子の関与について詳細に検討を進めています。
我々の実験ではラットの心臓を用いていましたが、京都大学内分泌代謝内科の桑原宏一郎先生、中川靖章先生グループとの共同研究で、トランスジェニックマウスを用いての観察にも成功しており、応用範囲がさらに拡がりました。
<ミトコンドリアを標的とした心筋保護治療戦略>
ミトコンドリアは従来考えられていたよりはるかに多くの生命現象に関わっていることがわかり、また様々な疾患の原因ともなりうることがわかってきました。特にミトコンドリア細胞死経路は、虚血再灌流傷害から心臓を保護するための治療戦略のターゲットして有望視されています。我々は、京都大学薬学部の赤池昭紀教授グループと共同研究を行い、ウシ胎児血清から抽出した新規物質が、培養心筋細胞において活性酸素刺激によるミトコンドリア細胞死経路を抑制し、心筋細胞保護効果を有することを見いだしました。さらに、この臨床応用に向けて国際特許を出願しました。現在は、この薬剤の効果を動物モデルで確認する実験を行っています。
発表論文
- Madoka Matsumoto-Ida, Masaharu Akao, Toshihiro Takeda, Masashi Kato, Toru Kita. Real-time 2-photon imaging of mitochondrial function in perfused rat hearts subjected to ischemia/reperfusion. Circulation. 2006;114:1497-1503.
- Toshihiro Takeda, Masaharu Akao, Madoka Matsumoto-Ida, Masashi Kato, Hiroyuki Takenaka, Yasuki Kihara, Toshiaki Kume, Akinori Akaike, Toru Kita. Serofendic acid, a novel substance extracted from fetal calf serum, protects against oxidative stress in neonatal rat cardiac myocytes. J Am Coll Cardiol. 2006;47:1882-1890.
- Toshiaki Kume, Ryota Taguchi, Hiroshi Katsuki, Masaharu Akao, Hachiro Sugimoto, Shuji Kaneko, Akinori Akaike. Serofendic acid, a neuroprotective substance derived from fetal calf serum, inhibits mitochondrial membrane depolarization and caspase-3 activation. Eur J Pharmacol. 2006;54:69-76.
- Madoka Matsumoto-Ida, Yoshihito Takimoto, Takeshi Aoyama, Masaharu Akao, Toshihiro Takeda, Toru Kita. Activation of TGF-beta1-TAK1-p38 MAPK pathway in spared cardiomyocytes is involved in left ventricular remodeling after myocardial infarction in rats. Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2006;290:H709-715.
- Masaharu Akao, Toshihiro Takeda, Toru Kita, Toshiaki Kume, Akinori Akaike. Serofendic Acid, a substance extracted from fetal calf serum, as a novel drug for cardioprotection. Cardiovasc Drug Rev. 2007;25:333-341.
- Masashi Kato, Masaharu Akao, Madoka Matsumoto-Ida, Takeru Makiyama, Moritake Iguchi, Toshihiro Takeda, Shigeomi Shimizu, Toru Kita.The targeting of cyclophilin D by RNAi as a novel cardioprotective therapy : evidence from two-photon imaging. Cardiovasc Res. 2009;83:335-344.
研究助成
- 文部科学省科研費基盤研究C
- 文部科学省リーディングプロジェクト(共同研究)
- 日本心臓財団・ノバルティス循環器分子細胞研究助成
- 先進医薬研究振興財団循環医学研究助成
- 武田科学振興財団報彰基金研究奨励
- かなえ医薬振興財団 研究助成
- 医科学応用研究財団 調査研究助成
学位取得
- 松本円
- 武田敏宏
- 加藤雅史(予定)
メンバー募集
現在、心血管バイオイメージンググループでは、スタッフ(医員、大学院生)を募集中です。
臨床で感じた疑問を分子レベルで解決してみませんか。
ご興味のある方は、京都大学医学部附属病院循環器内科 尾野 亘までご連絡ください。
- TEL: (075)751-4255:平日8時30分~17時30分
- FAX: (075)751-3299
- e-mail: kohono(at)kuhp.kyoto-u.ac.jp
(e-mailの場合、タイトルは、「心血管疾患分子機構解明グループ スタッフ募集について」と記載してください。尚、京都大学医学部附属病院のサーバーシステムの事情により、メール受信がブロックされる場合があります。)